【産後クライシスブログ第6話】
産後、自分を取り巻く環境の全てが変わった。
慣れない育児、変わり果てた自分の容姿、義実家と実母のストレス、夫の昇進と家庭の不和・・・・。
怒りや焦燥感とは裏腹に、「もっと夫から愛され、大事にされたい。」という気持ちは強くなる一方だった。
子どもやわたしと向き合おうとしない夫に求めたハグは、わたしにとっては、心の底からの悲鳴だった。
産後の孤独
産後、社会と家庭から孤立
孤独だった。
子どもはまだ生後5ヶ月で言葉も喋らない。
毎日、泣きわめく子どもに乳を飲ませ、始めたばかりの離乳食をあげるのに奮闘し、オムツを替え、ぐずる子どもを抱き続ける。
話し相手はいない。
母は毎日ではなく、週に何度か自宅に来てくれていた。
でも、母には本音を話せなかった。
母は既に夫のことを嫌っていた。
夫の悪口をしきりに言い、徐々にその矛先は「どうしてあんな男を選んだの!?見抜けなかったあんたが悪い。こんな婿がくるくらいなら結婚しないほうがマシ。」とわたしへ向かった。
母が帰ると、正直ホッとしていた。
手伝ってもらっているにも関わらず、「早く帰ってくれないかな。」と内心思い、自己嫌悪に陥った。
その頃、話せる友人もいなかった。
正確には、話そうという気が起きなかった。
家庭内の込み入った事情は恥に思えるし、共感も理解も他人に求めることができなかった。
わたしは、ただ1人、夫に共感や理解をしてもらうことをずっと望んでいた。
ハグを拒否され、「好きかわからない。」と言われた今、わたしは社会と家庭からも見放され、完全にひとりぼっちになったと感じた。
子どもと2人きりの孤独
家の中で、1日中子どもと2人っきりでいる生活は精神的に辛かった。
まだ言葉も話せず、ただ泣くだけのわが子。
昼寝もろくにせずに、すぐに起きてはぐずりだす。授乳間隔は2時間もなかった。
気分転換もできないし、ゆっくり寝ることも食事をすることもできない。
外は猛暑で出歩くこともままならず、いつも家にいた。
鬱々とした心の状態で泣き止まない子どもをあやしていると、不意に、衝動的にこみ上げてくるヒステリー。
子どもを安全な場所に寝転ばせ、玄関の外に出て深呼吸をした。
そして、落ち着いたら家の中へ戻った。
そうしないと、わたしは何をしでかすか、自分でもコントロールできない気がして恐ろしかった。
あくまで一時的な対処だった。
わたしは何度も、「ここから今すぐに逃げて、消えて、無くなってしまいたい。」と思った。
苦しくて苦しくて、誰かに助けて欲しかった。
その誰かとは、もちろん夫のことだった。
義実家への帰省
夫との夫婦仲は悪化し、口をひらけば口論になるので、徐々に会話は無くなった。
夫からハグを拒否され「好きかわからない。」と言われても、悩む間も無く毎日は子どもの世話で忙殺されていく。
夫はますます家に寄りつかなくなり、わたしの夫への嫌悪感は、憎悪に近かった。
そんな中、義実家へ帰省する盆の時期が迫っていた。
これから始まる一連の出来事により、もう2度と夫を愛することができなくなる。
「離婚」という言葉を初めに出したのは、夫の方だった。
続きは以下よりどうぞ(全9話・未完)
