【産後クライシスブログ第9話】
子どもが生まれてから数ヶ月が経ったが、夫との喧嘩は激しさを増す一方だった。
義実家の帰省について、「集合時間を早めてくれなければ義実家へは行きません。」と夫へ宣戦布告した。
わたしは、自分さえ我慢をしたらその場が丸く収まる・・・ということを、もういい加減に辞めたかったのだ。
「赤ちゃんは泣いて当然でしょ」と言う義両親
夫に、何度も「ご両親に事情を説明して時間を調整してもらって。」と言ったにも関わらず、最終的に夫は放棄した。
まぁそれは、数回ほど夫は義両親に連絡したが、義両親は聞く耳を持たなかったからのようだ。
「赤ちゃんは泣いて当然だ。せっかく弟家族が帰省してくるんだから、時間を早めるなどと水を差すようなことを言うな!」
と言っていたそうだ。
そもそも、義両親は価値観がとても古く、舅は自分のことを一族の長(笑)と思っている。
なので、自分が決めたことにイチ長男の嫁が意見を言うなどもってのほかなのだ。
ただ、わたしはもう、いい加減に義両親のこの古い価値観に心底嫌気がさしていた。
夫にとって義両親と妻の問題は他人事
夫が義両親に集合時間を早めてもらっていないことがわかったのは、義実家へ行く前日。
「明日は遅いから先に子どもをお風呂に入れて行く〜?」と呑気に話す夫に対し、わたしは逆上した。
てっきり、夫が義両親と交渉して時間を早めているかと思っていたのだ。
夫はわたしに対して「なんとかするよ。」と適当にノラリクラリとかわしながら、結局途中で投げ出していた。
「うちの両親もお前もなんでお互い譲らないの?めんどくさいなぁ。勝手に好きにやれば?そのくらい両親に合わせりゃいいじゃん。」
と夫はいかにも面倒臭そうに言い放った。
夫は、義実家とのいざこざは義両親とわたしの問題であって、自分は部外者(むしろ巻き込まれる被害者)とでも思っているようだ。
自分の両親なのにどうして交渉1つまともにできないのか、とわたしは軽蔑した。
また、夫は昨夜「なんとかするよ。」と言いながら朝方まで友人と飲みに出ていたのだ。
結局、何1つ育児に加担せず、義両親とのやりとりに関しても他人事。
わたしは怒りで全身が震えた。
わたしだって、たった1日、自分が義両親に合わせて我慢さえすれば丸く収まると知っている。
ただ、もう、それはしたくなかったのだ。
今そうすれば、今後子どもの行事なども沢山あるのに、ずっと義両親の言いなりになる・・と予想していた。
姑からの皮肉な伝言
夫に対し、爆発的に込み上げる怒りを感じながら「時間を早められないなら、絶対行かないから。」とやっと伝えた。
時間がどうこうという問題よりも、義両親や夫が、少しでも育児の大変さや産後間もない自分や、幼いわが子のこと気遣ってくれる意識が欲しかった。
義両親は、今まで1度たりともわたしの意見を尊重してくれたことはなかった。
もう意地だった。
夫からはなんのリアクションも返ってこなかった。
その後しばらくして、夫から告げられた姑の伝言はこうだ。
「もう食材も準備しているし、お父さんも皆が集まるこの日を楽しみにしているから来ないなんてことはしないでちょうだい。時間については、あなた達がそれで幸せだと思うなら、好きにしなさい。」
わたしは、なんて皮肉に満ちた言い方だろうと思った。
あなた達がそれで幸せなら・・か(笑)
あくまで、あなた達(まぁほぼわたしに対して)の意見には同意していないという意思表示だろう。
夫とは、それ以上会話を交わすこともなく、お互いに嫌悪感に満ちた空気のなか就寝した。
0歳児の夜泣きで徹夜明けの妻に対し「キチガイ」と言う夫
こんなくすぶった気持ちのまま毎日を過ごしていても、もっとも最悪な精神状態のときですら、子どもの生活は規則的だ(笑)
その晩、子どもはひどい夜泣きをした。
その度に授乳や抱っこ、オムツ替えをしてやっと寝かしつけても、何度も起きては泣くことを繰り返し、気づいたらもう朝になっていた。
ほとんど徹夜状態だった。
翌朝、夫は部屋のカーテンも開けず、布団も上げず、自分の支度だけをしてキッチンでスマホを見ながら朝食を食べていた。
子どもが朝から泣き叫んでいるというのに。
夫による、夫のための、夫だけの生活だ。
わたしは今まで溜まっていた不満が一気に込み上げた。
「カーテンくらい開けてよ!!」とキッチンにいる夫に言い放った。
すると夫は、子どものオムツを替えているわたしの背後に立ち、
「朝からうるせぇなぁ。このキチガイが!!!」
と怒鳴った。
後にも先にも、ここまで夫に対して怒りを感じたことはない。
怒りで頭がクラクラして、声も震えながらわたしは言い返した。
「はぁ?あんた、夜通し子どもの世話して、今もオムツ替えしている妻に向かってよくそんなことが言えるね。じゃあ、キチガイのお腹から生まれたこの子はキチガイか?キチガイの母乳飲んでここまで育ってきたこの子はキチガイじゃないのかよ?あんたは、キチガイの作ったご飯を毎日食べて、キチガイの畳んだ洋服を毎日着ているんか?」
わたしは、半分泣きながら言い返していた。
悔しさと、悲しさと、どうしようもない怒り。
夫はその後、「うるせー女!うちの両親だってお前のこと前から嫌っている。結婚したのが間違いだった。」と、わざとなのかわたしを罵り続けた。
自分の席に戻り、朝食を淡々と食べ続けながら。
夫が仕事へ行った後も、わたしはどこにもぶつけようのない怒りと悲しみを感じていた。
目の前で無邪気に遊ぶ幼いわが子を見ながら、「わたしにはどこにも逃げ場がない。」と思った。
しかも今日は、義実家へ行く日だった。
この1日の出来事により、のちに離婚の決意をすることになるとはつゆ知らず。
